簡単に説明できますか？機能要件と非機能要件の違い

ソフトウェアを開発するとき、はじめにソフトウェアがどのような機能を満たす必要があるかを決める要件定義の工程があります。この工程を通ることによって、必要な機能を実装したソフトウェアが完成します。
しかし、必要な機能を実装しただけで、ソフトウェアが完成するわけではありません。今回は、機能要件と非機能要件の違いや、非機能要件の詳細と注意点について解説します。

開発要件の分類

はじめに、開発の要件定義には大きく分けて2種類あることを知っておく必要があります。どちらもクライアントの満足度を高めるために重要な要素です。

機能要件

要件定義の中で「実装する機能」に関する要件のことを機能要件といいます。例えば、「商品Aを購入したユーザーを検索する機能」のように、実際にクライアントが必要になる機能は機能要件として分類します。

非機能要件

要件定義の中で、システムの性能など「実装する機能以外」に関する要件を非機能要件といいます。例えば、「商品Aを購入したユーザーを検索する機能は、3秒以内に検索が完了すること」のような主目的以外の要望は、非機能要件として分類します。

非機能要求グレードにおける6つのカテゴリ

非機能要件は、情報処理推進機構（IPA）が大きく6つのカテゴリに分類しています。このカテゴリを満たす形で要件定義を行えば、クライアントを満足させるソフトウェアを開発することができるのです。

可用性

運用スケジュールや障害発生時の復旧などに関する要求は可用性に分類されます。バックアップ体制や障害発生時の回復方法を確立させることによって対策をします。

性能/拡張性

ピーク時の負荷や業務量増加の対応などに関する要求は性能/拡張性に分類されます。ソフトウェア内部の処理を効率化したり、ネットワーク機器の配置に配慮したりして、処理速度や機器の新規設置を対策します。

運用/保守性

システム運用時の稼働率や問題発生時の対応などに関する要求は運用/保守性に分類されます。正常運用のための監視の充実や、運用マニュアルの拡充によって対策します。

移行性

新システム移行に関する要求は移行性に分類されます。移行までのスケジュール調整や、リハーサルの実施によって対策します。

セキュリティ

利用者の制限や不正アクセスの防止などに関する要求はセキュリティに分類されます。アクセスの制限や不正利用者の監視、社員への情報セキュリティ教育によって対策します。

システム環境/エコロジー

システムの設置環境や消費エネルギー量などに関する要求はシステム環境/エコロジーに分類されます。設備に適した機器の選定や、環境負荷を低減させるシステムの構成によって対策します。

非機能要件の注意点

機能要件は、クライアントから必要とする機能をヒアリングするので、クライアントが何を求めているかが明確になります。
しかし、非機能要件に関しては、クライアントが普段から意識していない部分が多いため、無意識のうちに、クライアントが使用している他サービスと同様に使用できると思われていることもあります。

そのため、上記で解説した6つの分類を元に要件定義を行い、クライアントが満足してくれる環境を構築することが重要です。

現代のIT業界において、クライアントに必要な機能を実装しただけのソフトウェアを開発するだけであれば、例えば海外の開発会社に外注することによって格安で制作できるのが実情です。しかし、要件として漏れが出やすい非機能要件まで細かいレベルで満たすことによって、クライアントの満足度を高め、他社との差別化を図っていくことができるでしょう。

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