運用保守システムエンジニアに必要な資格とスキルを紹介

運用保守システムエンジニアとは?

運用保守システムエンジニアとは、企業の業務やサービス提供を支えるシステム(サーバやネットワークなど)を日々確実に動かし、問題が起きていないかチェックし、万が一トラブルが起きた際にはシステムを復旧し、同じトラブルが起きないよう改修するエンジニアを言います。
今、さまざまなシステムが24時間365日、安心して使えることをほとんどの人は当然のことのように思ってしまいますが、毎日、確実に、想定されたパフォーマンスでシステムを動かし続けることは簡単なことではありません。
ユーザーにはわかりにくい業務であり、システム開発に比べると、その重要性が見過ごされがちですが、IT化やDX(デジタルトランスフォーメーション)の進展でシステムの役割・重要性がますます大きくなっており、同時に運用保守エンジニアの重要性もこれまで以上に高まっています。

運用保守システムエンジニアの仕事内容

運用保守システムエンジニアの仕事内容は、その名称のとおり2つにわかれています。運用(マネジメント)と保守(メンテナンス)です。運用保守と一括りに表現され、人員も兼任となるケースが少なくありませんが、運用と保守は密接に連携しているものの、実際には異なる業務です。
システム運用は、システムを動かし、日々の業務を遂行することを通して、ユーザーのリクエストを満たしていく業務。一方、システム保守は、システムのパフォーマンスを向上させ、トラブルを未然に防ぐことができるように改善していく業務。保守の代表のように言われるトラブル対応は、あくまでも本来避けなければならない、イレギュラーな業務と言えます。
この2つの異なる業務が「運用保守」と一括りで呼ばれるのは、例えば、トラブルが発生した際に、一次対応は運用担当者が行い、一次対応で解決できない場合は状況を両者が共有しつつ、保守担当者がトラブル対応にあたるなど、連携して業務を進めることが多いためです。突発的なシステム負荷やトラブルの前兆となる小さな不調なども、毎日、システムをチェックしている運用担当者が察知し、保守担当者に共有して、対応します。

運用保守システムエンジニアの年収

企業やサービスの根幹となるシステムを支えるという、重要な役割を担う運用保守システムエンジニア。その年収は、実は調査によってさまざまです。
ある転職サイトのデータでは、平均年収は416万円。IT関連職種の中では低めになっています。運用業務の中には定型化できる業務もあり、若いエンジニアがキャリアの第一歩として担当するケースがあります。そうした事情を反映して、平均年収は低めになる傾向があります。
ちなみに、同じデータではサーバエンジニアは465万円、ネットワークエンジニアは455万円となっています。
一方、経済産業省がIT人材に関する給与水準を「公的調査として初めて大規模に把握」したとする調査では、IT運用・管理(顧客向け情報システムの運用)は608.6万円、IT保守(顧客向け情報システムの保守サポート)592.2万円と前述の転職サイトの数字よりも高くなっており、同じ調査でのSE/プログラマの600万程度と同様、あるいは上回る数字となっています。
転職サイトが主に20代、30代のエンジニアを対象としていること、転職サイトのデータはインターネット企業も含んでいるのに対し、経済産業省の調査はインターネット関連企業をわけていることも、こうした数字の違いに影響しているようです。
また、比較的歴史の浅いインターネット企業は、新規事業や新規サービスへの取り組みが大きく、運用保守は重要性が叫ばれながらも、まだ社内での位置づけが小さいでしょう。一方、企業の基幹システムなどを担当するIT企業では、運用保守の重要性が強く認識されているとも言えそうです。
ただし、インターネット企業も成熟化が進み、そのサービスは私たちの生活のさまざまな場面に浸透しています。今後、運用保守の重要性は今以上に高まってくるでしょう。

マイナビAGENT システム運用・保守
経済産業省「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」

運用保守システムエンジニアに必要な資格

運用保守の業務は、会社やサービスに応じてさまざまですが、共通して必要になるスキルや資格があります。運用保守システムエンジニアに必要な資格を紹介します。

資格1:ITIL4 Foundation

ITIL(Information Technology Infrastructure Library)は、ITサービスマネジメント、すなわちITサービスを提供する時の体制や仕組みについてのベストプラクティス(優れた事例)をまとめたもので、世界的な業界標準となっています。
2011年に最初のバージョンが発表された後、ITサービスの発展に合わせて、現在ではITIL4まで進化しており、それに基づく認定資格が行われています。
ITIL4 Foundationは、認定資格の中でも最もベーシックなもので、ITサービスマネジメントの基礎を学ぶことができるものです。数日の研修で取得可能と言われ、運用保守システムエンジニアとしてキャリアをスタートさせる際には必須の資格です。

資格2:応用情報技術者試験

経済産業省は、情報処理技術者としての「知識・技能」を認定する国家試験として「情報処理技術者試験」を行っています。そのなかで、基本的な知識・技能が問われる「基本情報技術者試験(FE)」の上に位置するのが、応用的な知識・技能が問われる「応用情報技術者試験(AP)」です。
受験者の平均年齢は20代後半、つまりシステムエンジニアとして数年のキャリアを積んだ人が受けている試験です。合格率は25%程度なので、難易度は比較的高いと言えます。

資格3:LPIC Lv1

LPIC:Linux Professional Institute Certification(Linux技術者認定試験)は、インターネットサーバで広く使われているOS(オペレーティングシステム)である「Linux」についての資格です。資格は3段階にわかれており、LPIC Lv1は、そのうち最も基本となるもので、Linuxの基本操作とシステム管理を対象としています。
Linuxサーバの運用保守を行う場合は、取得しておいた方が良いでしょう。未経験者でも参考書と問題集で合格可能とされる一方で、実務経験だけではカバーできる領域も限られ、難しい場合もあるようです。

資格4:情報処理安全確保支援士

経済産業省の「情報処理技術者試験」において、サイバーセキュリティに関する専門的な知識・技能を持つと認定され、所定の登録手続きを行うと国家資格「情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)」となります。
「基本情報技術者試験(FE)」「応用情報技術者試験(AP)」の上位に位置する専門性の高い資格で、合格率は20%を切っており、難易度の高い資格と言えます。

資格5:マイクロソフト認定資格プログラム

マイクロソフト認定資格プログラム(MCP:Microsoft Certification Program)は、マイクロソフト製品についての知識と技能を認定する試験です。
製品や分野に応じてさまざまな認定資格があり、これまで、マイクロソフト認定ソリューションアソシエイト(MCSA)、マイクロソフト認定ソリューションエキスパート(MCSE)などは、運用保守システムエンジニア向けの資格とされてきましたが、クラウドやAIの登場・普及に伴い、2021年1月末で終了となりました。
今後は、「Azure Apps & Infrastructure」「Data & AI」など、製品ではなく、企業での用途・役割に応じた資格体系で展開されていきます。

資格6:CCNA(Cisco Certified Network Associate)

CCNA(Cisco Certified Network Associate)は世界最大手のネットワーク機器メーカー・システシステムズの認定資格です。システムの運用保守には、今やネットワークの知識・スキルが不可欠です。
CCNAは、シスコの主力製品である「Ciscoルータ」「Catalystスイッチ」など、ITネットワークの中核となる製品を扱える知識・スキルを持っていることの証明となります。
シスコの試験のなかで最も基礎的な試験であり、難易度はさほど高くないとされています。ただし、実際にネットワーク機器に触れておいた方が良いでしょう。

運用保守システムエンジニアに必要なスキル

運用保守には、システムについての知識やスキルが必要なことはもちろんですが、実は優れた運用保守に欠かせないのはコミュニケーションスキルです。
運用保守には、サーバやネットワーク機器を相手に、黙々と仕事をするようなイメージがありますが、システムを使っているのはユーザーです。システムの使い勝手を向上させ、パフォーマンスを改善していくためには、ユーザーの声をよく聞くことが不可欠になります。
また予期せぬトラブルが発生した際も、サーバやネットワーク機器の状況を見るだけでなく、ユーザーが使用中に感じた異変や不具合をヒアリングすることで、原因を切り分け、特定していくことが必要です。この場合も、ユーザーからポイントを聞き出すコミュニケーションスキルが重要になります。

運用保守システムエンジニアのキャリアパスとは

運用保守システムエンジニアは、年収の項目でもお伝えしたように、キャリアの入口と捉えられる一面があります。サーバやネットワーク、データベースやアプリケーション、さらにはクラウドやAI、自動化など、日々の業務を通して、ITの最先端知識を幅広く習得できるからです。
具体的に見ていくと、運用保守の基本はシステムの監視です。インターネットの活用、モバイル技術の進展、外部との連携、クラウド化などによって、システムの構成は大きく、急速に変化しており、そうしたシステムの最新事例は参考書などで把握できるものではありません。
運用保守の監視を通して、まずシステムを理解すること。そして日々のさまざまな運用、改修・トラブル対応などの保守の経験を通して、システムの重要性を理解するとともに、現状の課題を把握し、解決策を探っていくことは、その後、例えば、システムの設計や構築、あるいはコンサルティングを行う場合にも、大きな財産となります。
運用保守は、ITエンジニアとしての基礎を固め、真の実力を育むことができる業務なのです。

運用保守はITエンジニアの「ゆりかご」

運用保守システムエンジニアは、現状では注目されにくい一面もあります。システムが正常に動いている限り、運用保守担当者の業務は一般ユーザーには意識しづらいものだからです。
ですが、今回見てきたように、運用保守の重要性はますます大きくなっています。そしてITエンジニアのキャリアを考えた時に、スタート地点としての運用保守の意味も大きくなっています。運用保守はITエンジニアにとって「ゆりかご」と言えるでしょう。ゆりかごで栄養を蓄え、飛躍のための力をつけたエンジニアこそが大きく羽ばたくことができます。

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