一陸特が必要な仕事とは?資格取得のメリットと試験内容を解説

一陸特とは?

一陸特(第一級陸上特殊無線技士)とは、今、私たちの身の周りで急速に拡大・発展しているさまざまな無線(通信)サービスを支える、多種多様な無線設備を取り扱うための資格です。
映画を数秒でダウンロードしたり、自動運転や遠隔医療をサポートする高速・大容量な5Gサービスや、IoT(モノのインターネット)を実現する低速・低コストな通信サービスなど、無線の利用技術・利用場面は急速に拡大しています。
特に携帯電話が広く普及したことで、私たちの身のまわりには小規模で、多種多様な無線局(無線設備)が数多く配置されるようになっています。
総務省は、重要なインフラである無線設備に関する資格を大きく5つの分野(総合、海上、航空、陸上、アマチュア)にわけ、合計23の資格を設けています。一陸特はその中でも、急速に拡大・増加している小規模な無線設備を対象にした資格です。
無線の利用範囲が拡大し、さまざまなサービスが無線を通じて提供されるようになっている今、最注目の資格になっています。

一陸特の業務範囲

一陸特をはじめ、無線設備を扱う無線従事者の試験を行っている公益財団法人日本無線協会は、一陸特の代表的な職場として「放送局(TV中継)、電気通信事業者、防災行政無線、無線中継所等」をあげています。
陸上特殊無線技士には、一陸特のほかに、二陸特(第二級陸上特殊無線技士)、三陸特(第三級陸上特殊無線技士)があり、同様に二陸特の職場として「警察、消防、防災行政無線、MCA、各種業務、タクシー無線等」を、三陸特の職場として「MCA、各種業務の小規模基地局、タクシー無線等」をあげています。ちなみにMCAは、業務無線システムの総称です。
一陸特は、二陸特(二級)、三陸特(三級)の上位資格にあたり、もちろんこれらの業務を行うこともできます。
つまり、一陸特は、スマートフォンの基地局やテレビ局の中継設備、交通機関の無線設備などを扱うことができるようになります。特にスマートフォンの基地局は、各キャリアがサービス品質の向上やきめ細かなエリアカバーを目指して、積極的な設置や設備更新を行っています。今は5Gサービスがスタートしたばかりですが、すでにキャリアは2030年頃の6G(第6世代)サービスの提供開始を目指して動き出しており、一陸特の活躍範囲は今後もますます広がっていきます。

一陸技との違い

陸上の無線設備を取り扱うことができる資格には、一陸特の「特殊無線技士」のほかに「陸上無線技術士」があります。陸上無線技術士は第一級と第二級の2つにわかれ、それぞれ「一陸技」「二陸技」と呼ばれます。
一陸技は、簡単に言うと、陸上にあるすべての無線設備を扱うことができる資格です。陸上無線従事者の最上位の資格となり、例えばテレビ局で言えば、一陸特は中継設備に限られますが、一陸技はテレビ局自体の設備まで扱うことができます。
ただし、キャリアとして考えた場合、一陸技は最上位の資格ではありますが、その適用範囲をフルに活用できる場は限られます。テレビ局の無線設備とキャリアの基地局の数の違いを考えると一目瞭然。資格取得の難易度、時間も含めた資格取得のためのコストと、資格取得によるメリットのバランスを判断することが大切になります。

一陸特が必要な職種と仕事内容

一陸特が必要な職種については、先に紹介したように暗号協会が「放送局(TV中継)、電気通信事業者、防災行政無線、無線中継所等」と例をあげています。
具体な仕事内容としては、テレビ局であれば中継車などの中継設備の操作やメンテナンスを行う技術スタッフ、キャリアなどの電気通信事業者であれば、基地局の場所の選定や設置を担当する基地局エンジニア、あるいは通信サービスの中核となるネットワークセンターなどの運営・管理などが仕事となります。
さらに、IoTの活用がさまざまな領域で進められている今、大規模工場や自動配送センターでのセンシング、バスやタクシーの運行管理、さらには農業や水産業などこれまでデジタル化が進んでいなかった分野への活用、街全体をIoT化するとも言えるスマートシティでの活用など、無線設備の応用範囲は拡大する一方です。それに伴って、一陸特が必要となる職種はますます広がり、仕事内容も多種多様に広がっていきます。数年後には、今、思い描く「第一級陸上特殊無線技士」からは、まったく予想ができないものになっているかもしれません。

一陸特のメリット

ここまで、一陸特の概要を紹介してきました。次に一陸特の具体的なメリットを見ていきましょう。

メリット1:常に需要がある仕事に就ける

無線が使われる領域は、以前は比較的限られていました。古くはテレビ局、空港、タクシーなどの業務無線、警察や消防の無線などで、無線はさほど一般的なものではありませんでした。
大きな変化は、携帯電話の登場です。携帯電話の契約数が固定電話を超えたのは2000年、そしてスマートフォンの代表とも言えるiPhoneが日本で発売されたのが2008年。私たちがいつでもどこでも無線でつながり、情報やサービスをいつでも、どこでも手にできるようになってから、まだほんの10年ほどしか経っていません。ですが、その用途は10年前には想像もできなかったほど広がっています。
これから、無線を使ったサービスはますます増えていきます。爆発的に拡大すると言ってもよいでしょう。一陸特の需要は拡大する一方です。

メリット2:仕事の幅が広がる

テレビ局やキャリアでの仕事は、一陸特の「今」の仕事を代表するものです。ですが、わずか10年でスマートフォンは広く普及し、私たちの生活スタイル、仕事スタイルを大きく変えてしまいました。
5Gがスタートし、IoTが本格化していくと、変化はますます広い範囲に及びます。特にIoTでは、身の周りのあらゆるものが無線を通じて(もちろん有線の場合もありますが)、インターネットにつながるようになります。
特にエンジニアとしてのキャリアを考えた場合、無線の知識を持っていることは、今後、大きな武器となり、仕事の幅を広げることができます。

メリット3:資格手当てが支払われる場合もある

3つ目はきわめて直接的なメリットになりますが、一陸特の資格取得によって手当が出るケースがあります。金額は業種や業態によって異なりますが、一般的には一陸特の取得時に数万円、毎月数千円程度の手当てがプラスされるようです。
転職など、スキルアップの際にも一陸特を持っていることは高い専門知識とスキルを持っていることの証明となります。

一陸特の試験について

5G時代、IoT時代に活躍のフィールドが広がる一陸特。ここでは試験について紹介します。

合格率

一陸特の試験の合格率は30%前後です。二陸特の合格率が約70%、三陸特が約80%であることを比べると、一陸特の合格率はきわめて厳しい数字になっています。

試験科目

試験科目は「無線工学」と「法規」の2科目。試験は各年度に3回(6月、10月、2月)に行われています。試験は「多肢選択式」、いわゆるマークシート方式です。
無線工学は、例年24問が出題され、5〜7問が計算問題、それ以外が知識問題になっています。合格基準は120点中75点以上、配点は1問5点なので、15問(62.5%)以上の正解が必要です。
法規は、12問が出題され、合格基準は60点満点中40点(66.6%)以上。こちらは8問以上の正解が必要になります。

一陸特の試験に合格するには

陸上特殊無線技士の中でも特に難易度が高い一陸特。二級、三級に比べると、無線工学の計算問題が難しくなると言われています。ここでは、一陸特の試験対策を紹介します。

合格するコツ1:数年分の過去問を解いてパターンを掴む

あらゆる試験に共通の対策は、参考書で学習した後、数年分の過去問を解くことです。特に一陸特の試験問題は、無線工学に計算問題が含まれているものの、無線工学、法規を通して、その多くは知識問題です。知識問題は毎年、同じような問題が出題されますので、過去問を繰り返すことで、出題傾向を掴むとともに、合格に必要な知識を身につけることができます。

合格するコツ2:計算問題に特化した問題集を用意する

一陸特は、計算問題が合否を左右すると言われています。特に一陸特は二級、三級に比べると計算問題の難易度が上がるので、テキストや過去問で十分に対策しておきましょう。
計算問題は解法をマスターできれば、必ず解けます。計算問題に苦手意識のある方も、テキストや過去問で理解を深めれば大丈夫です。

合格するコツ3:要点をまとめたノートを作る

過去問を繰り返し解いていると、必ず間違いやすい問題、苦手意識を持つ問題が出てきます。そうした問題は、手間を惜しまず、ノートにまとめて、いつでも、すぐに復習できるようにします。
ちょっとした時間ができた時に、要点ノート(復習ノート)を開いて、弱点を解消していきます。

おすすめの教材

一陸特の試験対策用にさまざまな参考書や問題集が出ています。ここでは、その中から代表的な教材を紹介します。

やさしく学ぶ 第一級陸上特殊無線技士試験 改訂2版
オーム社

2014年6月に発行された書籍の改訂版。「試験に出るポイントに絞った内容」と「やさしくていねいな解説」が特徴で、改訂2版は、図やイラストを大幅に増やし、よりわかりやすいテキストになっています。また改訂で、最近の出題傾向に合わせた問題の追加・変更を行っています。

一発合格! 第一級陸上特殊無線技士試験 テキスト&問題集
ナツメ社

無線工学と法規の重要ポイントを解説。巻末には模擬試験を収録し、別冊には、試験直前対策として重要ポイントがまとめてあります。短時間で効率的に勉強できるテキスト&問題集です。過去問は、インターネットにある過去問などを活用すると、さらに効果的です。

第一級陸上特殊無線技士問題・解答集 2020-2021年版
誠文堂新光社

過去10年分のよく出る問題を厳選、2019年10月期までの試験問題を収録しています。一陸特の試験は、本書で「無線工学」と「法規」の問題パターンと、その解説をマスターすれば、合格への近道となります。2年に一度刊行し、毎回、新しい問題を数多く収録しています。

第一級陸上特殊無線技士国家試験 計算問題突破塾 第2集
東京電機大学出版局

「無線工学」の計算問題に特化した参考書。近年の出題傾向に合わせて内容を刷新しています。4つのステップ(問題を解くヒント・使う公式・一般的な解き方・簡易な解き方)を使ってわかりやすく解説しています。計算過程も省略せず、丁寧に展開。巻末には公式集と数学の基礎が掲載されています。

将来性・可能性が広がる一陸特の資格

一陸特(一級陸上特殊無線技士)は、国によって詳細に定められた無線設備に関する資格の中で、将来性・可能性が最も広がっている資格です。5Gサービス、IoT(モノのインターネット)が広がっていくなかで、無線の利用技術・利用場面は急速に発展・拡大しています。
一陸特はその中でも、きめ細かなサービス提供やエリアカバーに欠かせない小規模な無線設備を対象にした資格。実際に使われている設備の数も多く、需要はますます高まっています。
今、最注目の資格、それが一陸特です。

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