エバンジェリストとは? 役割と仕事内容、求められるスキル

自社製品に関する情報を中心に、ITトレンドや最新テクノロジーに関する伝道を行うのがエバンジェリストと呼ばれる人々です。いまIT業界で最も注目され、今後さらに多方面での活躍が期待されるエバンジェリストについて解説します。
エバンジェリストとは
エバンジェリストとは、もともとキリスト教の伝道者、つまりキリスト教の啓蒙活動を担う人を指す言葉です。転じて近年、海外のIT企業では自社の製品やサービスについてわかりやすく広く一般に伝える役どころの人のことをエバンジェリストと呼ぶようになりました。
この新しい職種は近年、日本でも注目されています。IBMやマイクロソフトなどの外資系IT企業の日本法人ではエバンジェリストを重要なポストと位置づけ、社内外のイベントでのプレゼンテーターなどに起用しています。
また、ユーザー企業やパートナー企業、あるいは各社のITエンジニアのもとに赴き、個別啓蒙活動を行うこともあります。こう説明すると、エバンジェリストは営業や広報担当者とどう違うのかという疑問を持つかもしれません。それらと異なるのは、エバンジェリストの場合は基本的にユーザー側に近い中立のスタンスをとり、自社の宣伝にのみ拘泥することなく、広くITトレンドや最新テクノロジーに関する情報提供を行いながら企業の課題解決策を示す専門家だという点です。
エバンジェリストが注目される背景とは
エバンジェリストが脚光を浴びるようになった背景には、昨今のIT技術の高度化・複雑化があります。無数とも言える製品やサービス、技術が開発され提供されている現在、ユーザー企業がそれらの中から最適な製品や組み合わせを選び取ることは困難になっています。エバンジェリストはいわばそこから最適解を案内する役どころです。自社の製品を中心に、ユーザー企業の状況に応じた製品を、その製品が生まれた理由や目的、位置づけ、中長期的な技術トレンドなども含めて説明し、啓蒙していきます。
特に現在はITベンダーに籍を置くエバンジェリストが、システムインテグレーター、ソフトウェア開発会社、エンドユーザー会社の開発者、システム管理者、ネットワークエンジニアに対して啓蒙活動を行うケースが増えています。
エバンジェリストに求められる役割
エバンジェリストは自社製品やサービスの特徴や強み、導入・運用方法などを、その背景にあるテクノロジーや市場の情勢の話を踏まえながら正しく、わかりやすく啓蒙します。あくまで中立的な立場からユーザーに近い客観的な視点で語る、というのがエバンジェリストの役割であり、立ち位置です。
例えば自社製品やサービスに何かしらの弱点があっても、エバンジェリストであればそのことを包み隠さず伝えるはずです。他社の商品との組み合わせによって弱点が補えるならそうした提案もするでしょう。なぜならエバンジェリストにとっては自社や自社の商品をPRすることよりも顧客の課題を解決することのほうが、優先順位が高いからです。多くのエバンジェリストは自社の売上を伸ばすというミッションからは少し離れたポジションにあり、営業や広報とはこうした点が異なります。
そもそもエバンジェリストが基本的なターゲットとするのは個別ユーザーというよりも、もっと広い意味でのユーザーです。不特定多数の人に知識を広め、その結果として自社製品も受け入れられるようになる環境を作り出す役どころとも言えます。そう考えれば伝道者という意味が名前に込められている理由も理解できるのではないでしょうか。
実際の業務は? エバンジェリストの仕事内容
エバンジェリストの具体的な仕事としてまず挙げられるのは、新製品発表会やITイベントにおけるプレゼンテーションです。プレゼンターとして壇上に上がり、多くの人々を前にして、自社の製品やサービスの特徴、あるいは会社そのものの魅力、テクノロジーに関する最新トレンドなどについて解説し、広く知らしめます。
また製品やサービスの導入を検討している、もしくは導入したばかりのユーザー企業に対してデモンストレーションするのもエバンジェリストの仕事です。デモンストレーター、プリセールスエンジニアとしてユーザーの需要や状況に合わせた商品説明や提案を行います。
さらに自社社員に向けたインナーマーケティングもエバンジェリストが担当することがあります。新商品や自社のブランド価値、ときには企業理念や行動指針についても社内の人間に向けて情報発信し、情報共有を求め、社内文化の醸成に努めていきます。
そして上記の仕事に関連した製品やサービス、関連技術についての情報収集や研究もまたエバンジェリストの重要な業務となります。日々新しい情報、知識を得て、それらに対する自身の知見を整理して情報発信に備えます。
エバンジェリストになるために必要なスキル
エバンジェリストになるにはどのようなスキルが必要なのでしょうか。ここでは3つのポイントを挙げてみます。
情報を正しく啓蒙する力
中立の立場で、わかりやすく噛み砕いた言葉を使って、正しい啓蒙ができること。これはエバンジェリストにとって最も必要な能力であると同時に、基本姿勢でもあります。いまどんな製品がなぜ必要か、ほかにどのような選択肢があるか、将来に向けた展望はどうかといった情報を丁寧に、正しく伝えなければなりません。ときには自社製品の欠点や弱点について触れ、他社技術の利点について説明することもあります。
課題解決力
顧客が抱える課題を見つけ、解決する手段を見つけて示す能力です。エンジニアとしての知識と経験をベースに、エバンジェリストという俯瞰的なスタンスから導き出したソリューションを提供します。
熱心に研究する力
情報収集能力と、それを分析・研究して生きた知識として蓄積していく能力も必要です。つまりインプットの部分であり、日進月歩で進化する技術や技術知識に対して常に目を光らせ、消化していくことが求められます。
エバンジェリストに転向しやすい職種
現在のところ、エバンジェリストになるための決まったキャリアパスなどが確立されているわけではありません。しかし、エバンジェリストとして活躍する人の多くがシステム開発やソフトウェア開発の経験を持っています。システムエンジニアの中でもより上流の工程、要件定義や設計などクライアントと直接関わる業務に携わっている人ほど、エバンジェリストとの距離が近いと言えるでしょう。
また、企業のIT戦略を策定し、システム導入やシステムの見直し、最適化、運用などに関するコンサルティング業務を担う「ITコンサルタント」もエバンジェリストに近い職種です。専門的な知識に加えてIT業界全体を俯瞰できるような幅広い知識を持ち、プレゼンテーション能力なども高ければ、エバンジェリストに転向することも可能だと考えられます。
こうした能力のほかに、エバンジェリストには自社の製品やIT業界に関する広い見識を得て、その発展に寄与したいといった情熱も持ち合わせているべきです。今後さらに様々な分野で需要が伸びるであろう職種なので、将来のキャリアポジションの一つとして意識してみてはいかがでしょうか。
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